加越山地 大門山(1571.6m)、赤摩木古山(1501m)、見越山南峰(1610m)、奈良岳(1644.3m)、大笠山(1821.8m) 2011年6月18日

所要時間 5:03 ブナオ峠−−6:08 大門山分岐−−6:18 大門山 6:22−−6:27 大門山分岐−−6:49 赤摩木古山 6:50−−7:53 見越山南峰−−8:18 奈良岳 8:41−−9:56 桂湖分岐−−9:59 大笠山 10:16−−10:21 桂湖分岐−−11:27 奈良岳−−11:50 見越山南峰 12:02−−12:58 赤摩木古山 13:14−−13:34 大門山分岐−−14:16 ブナオ峠

概要
 ブナオ峠から大笠山を往復。ブナオ峠は西側の小矢部川沿いの車道は廃道化しており東側からのみアプローチ可能。峠から奈良岳までは歩く人が多く1級の道で、奈良岳から大笠山間は少しグレードが落ちるが、灌木と笹の刈り払いはそこそこしっかりしており、草が茂っていなければもっとよかった。天候は悪く、大笠山に到着後はほぼ雨の中の行動で、展望もほとんど楽しめなかった。見越山は正確な山頂には登山道はなく、尾根上は灌木藪で今回は諦めて一般的に山頂とされている南峰(1610m峰)のみ踏んだ。残雪は奈良岳までは僅かだが、奈良岳〜大笠山間で半端に残っており、雪田終点の夏道入口が分かりにくかった

ルート図(クリックで等倍表示)

 今週は地方の高速道路土日祝日\1000の最終週。高速を目いっぱい使える場所に足を伸ばすことにして、先週に引き続いて白山北部地域を目指した。ネットで調べるとこのエリアは「加越山地」と呼ばれるらしい。今回の目的地は笈ヶ岳北側の大笠山〜大門山間で、ここは標高約1000mのブナオ峠まで車で上がれ、夏道もあって標高はそこそこ高いので、今の時期ならギリギリ大丈夫だろう(虫はいっぱいいるだろうけど)。天気予報では土曜日はあまり芳しくなく日中に一時的に雨が降りそうだが、長時間は続かない予報。少しくらいは我慢するか。

ブナオ峠の駐車場 峠より西側は廃道状態

 今借りている駐車場が8月末に閉鎖となることが決まって代替地探しを兼ねて金曜日は午後半休とし、今までより僅かに遠くなるが料金が安価な駐車場を探し当てて予約を入れて、安心して出発する。会社の終業後に出発するより4時間近く早く出ることができ、先週同様に中央道→東海環状→東海北陸道と進んで白川郷PAで仮眠。6時間も睡眠時間を確保できた。3時半に起床して五箇山ICで降りてブナオ峠へ。県道が閉鎖されていないか心配であったがゲートは開いており峠まで入ることができた。峠より西側は車が入れないようブロックが積んであり、既に廃道状態のようであった。まだ暗い時間で車は皆無。、朝飯を食っていると地元の軽トラがやってきて山菜取り姿のオバチャンが2人降り、峠から西側の廃道を下って行った。こちらも出発だ。今のところ天気は薄曇であるが、予報のように雨が来るだろうか。

ブナオ峠登山口 案内標識

 登山口は立派な標識があり、しっかりした道が上がっていた。大笠山までこれならいいが、事前にネットで調べた記録では奈良岳より先は少しグレードが落ちるようだ。今回は天候にもよるが最低でも奈良岳まで行き、天候と道の状態を確認して大笠山まで足を伸ばすか考えることにする。大笠山まで行くとブナオ峠から片道10km近くなる。大きなアップダウンはないが細かいアップダウンが続いて帰りはつらいだろう。本来は桂湖から縦走できればいいが単独行のマイカー利用ではそれは無理だ。

最初からいい道が続く 立派なブナ林

 ブナ林に覆われた緑の尾根を上がっていく。登山道は良好で体に触れる木の枝や葉はほとんどない。葉っぱは水滴が付いているが、昨夜雨が降ったのか、それとも朝露だろうか。所々湿ってぐちゃぐちゃの区間があるが梅雨時なのでしょうがないのか、それとも毎度こんな感じなのか。まあ、ほとんどは乾いた道なので問題ない。広い尾根が続いて背の高い樹林も続き、ほとんど展望がないのが残念だ。木がなければ右手には先週登った人形山や三ヶ辻山が見えることだろう。

大門山分岐 大門山に登る
大門山 大門山から見た大笠山
大門山から見た東側の展望(クリックで拡大)

 傾斜が緩んで開けた小さな広場が登場すると大門山分岐だった。大門山は主稜線から僅かに外れた場所にあり登山道がなく藪に覆われているのではないかと心配していたがちゃんと道があるようだ。鞍部に下って急激に高度を上げると再び開けた平坦地が登場、そこが大門山だった。ここは伐採したのか、それとも自然にこのような植生になったのか不明だが展望が開けた場所だった。ただ、今日は雲が多めでこれから向かう奈良岳や大笠山は見えるのだが肝心の白山は霞んでしまっている。先週は見えた北アルプスは影も形もない。大笠山にはガスがかかり始め、どうも天気は予報どおりに下り坂のようだ。しかしまだ空は明るく雨の降る気配はない。

たまに樹林が開ける 短い残雪
赤摩古木山 赤摩古木山から見た大門山
赤摩古木山から見た白山方面(クリックで拡大)

 大門山分岐に戻り、次の赤摩古木山に向かう。ここまではアップダウンは少ないので楽なのだが、赤摩古木山から見越山間がアップダウンが多くいやらしい場所だ。今まで同様の良好な道が続き、基本は樹林中だがたまに樹林が開けて東側の展望が得られる場所があった。平坦な尾根を歩いていると赤摩古木山山頂に到着。ちょっとだけ広場になっており花崗岩の山頂標識が埋まっていた。ここから見る見越山より先は残雪が見えるが、雪の上を歩くことがあるだろうか。もう時期が時期でこの標高なので、基本的に稜線上は雪が消えてしまい、残っているのは谷筋か稜線東側直下であろう。登山道は稜線上にあるだろうから雪の上を通過しない可能性は充分にある。

赤摩古木山から先の尾根に進む 途中のピークのベンチ
見越山が近づく 大笠山はまだ遠い
大門山、赤摩古木山を振り返る

 赤摩古木山から急激に高度を下げて細かいアップダウンの尾根に突入。道がいいので文句は言えないだろう。見越山や奈良岳には雲がかかり始め、天候は確実に下り坂、いつ雨が落ちてくるか。予報では9時〜12時のお昼前くらいと言っていた。せめて奈良岳までは降らないでくれよ。この尾根は今までより木の高さが低くなって所々で視界が開ける。晴れて空気の透明度がよければ展望を楽しみながら歩けるのだろうけど。雲の高さはさらに低くなって見越山に到着する前にガスの中に突っ込んでしまった。

見越山へ最後の登り 見越山南峰
見越山南峰から見た見越山本峰 見越山南峰から見た奈良岳方面

 見越山は南北2つのピークで構成され、地形図の正確な山頂は北側ピークであるが、現場に行ってみると登山道は南峰を通っているだけで山頂標識も南峰にあり、北峰には踏跡すらなかった。北峰まではさほどの距離ではないと思うが今は濡れた潅木藪で突っ込む元気はなかった。残雪が期待できるブナオ峠への道が開通した直後に登り、雪を利用して藪を避けるのが賢明だろう。まあ、一般的には南峰が見越山山頂とされているようなので、そこまでこだわらなくてもいいのかもしれないが。周囲はガスの中で奈良岳の姿は見えなかった。

鞍部より登りにかかる 残雪帯を行く。涼しくて爽快

 奈良岳までは大きなアップダウンはない。稜線を辿って登っていくと雪田が登場、帰りに夏道入口が分からなくなりそうなので今回唯一の赤テープを木にぶら下げておいた。雪の上を歩きながら反対側の夏道入口を探しつつ進み、右手に発見。雪の上を歩けるのは登山道が稜線真上ではなく東側に巻き気味に付けられたところだけのようだ。

奈良岳山頂 金沢市内尾方面に下る道

 登りきったところで笹が刈られた広場が登場、そこが奈良岳山頂だった。ガスの中なのでよく分からないが、たぶん西側半分の展望は良さそうだった。他の方向は低い木が生えて視界を遮っていた。登山道はこの先も続いているが奈良岳より先は極端に細く、両側から笹が被って踏跡程度であった。濡れた笹に突っ込むのはちょっとなぁ。まだ時間的に余裕はあるが大笠山は諦めることにして奈良岳で休憩するか。お休みしながら地図を見ると、奈良岳で道が2本に分岐し、金沢方面に下る道と県境稜線を大笠山方面に縦走するルートがある。しかし山頂広場から伸びる道は、今歩いてきたブナオ峠から続く道と笹の被った細い踏跡だけであった。金沢市の内尾方面に下る道は廃道化したのだろうか? しかし、山頂手前で左に分岐して雪田に吸い込まれる短い道があり、もしかしたらそれが県境稜線への道なのだろうか? そうでなければここから東に下る地形図に記載されていない道があることになる。こういうときにガスって周囲が見えないのは困る。先の稜線の様子が見えれば簡単に判断できるのだが。おっと、そういえば山頂でお休み中に地震がありビックリした。

山頂手前から左に入り雪田が終わったところ 谷を下り樹林を抜けると尾根が見えた

 とりあえずは空身で山頂手前から左に入る道を行ってみる。雪田に出てからがルート判断に困った。目印でもぶら下がっていれば反対側の夏道入口が分かるのだが何も無い。そのまま東に向かってきたがすべて激藪の壁、しょうがないので尾根をは外れて右に曲がって小さな谷を下ってみると雪が消えた先に木の階段が登場、階段があるということは登山道に違いないが、谷を下っていくのでは県境稜線とも思えない。しかし、階段があるし、奈良岳までよりは多少グレードは落ちるが笹も刈り払われているのでメジャーな道に違いない。もう少し下って樹林とガスの切れ間から稜線らしき水平に延びる地形を見ることができ、どうやらこれが県境稜線らしいと確認できた。道は思ったよりいいしまだ時間はあるし雨は降っていない。ここは大笠山往復へと計画を進めよう。実は奈良岳までの可能性が高いと踏んで、用意した地図の範囲は奈良岳までであり、奈良岳〜大笠山間の地図が無いので地形が分からないのであった。これで藪山だったら自殺行為だが、登山道があるのでまあいいだろう。

2重山稜の谷に夏道と雪田あり よく刈り払われた道
この標識で安心できた 夏草が茂っている個所あり

 奈良岳山頂に戻ってザックを背負って下り始める。雪田が終わった谷間の道は雪解け水で小さな沢になっていた。沢が終わると傾斜がなくなって大きな雪田に出た。地形図では登山道は県境稜線上にあるように描かれているが、実際は奈良岳南側直下は県境より西側を通っていた。そして降り立った雪田は2重山稜の真ん中を埋めていて、夏道はその下らしい。どこに夏道の続きがあるのか分からないので慎重に周囲を確認しながら進むと、東西稜線に挟まれた狭い谷の中に夏道が続いていた。この付近は単純な尾根ではなくイヤらしい場所だった。もちろん、周囲の雪が消えて夏道が完全に出ていれば特に問題は無いだろう。谷間は元々藪が薄いが尾根上に出ると笹や潅木の藪となり、夏道区間はしっかりと刈払われていた。1,2箇所で案内標識も見かけ、これでこのルートが100%正しいと確証を持てた。ガスっているといろいろ不便だ。

夏道が続く 大笠山はガスの中
振り返る 100mほどの雪田
最後の登り 桂湖方面分岐

 うねうねと細かいアップダウンを繰り返しながらも徐々に登っていく。たまに残雪があるが登山靴のままで問題なく、1箇所だけ100mくらい雪の上を歩ける場所があった他は短かった。やっとまとまった登りが登場すると大笠山が近い。この頃から小粒の雨が落ちてきたが、まだ傘やゴアを必要とするほどではなくそのまま進む。刈り払われた登山道を登りきって平坦地に出ると分岐が登場、ここが大笠山かと思ったらまだ先で、直進方向の道は桂湖方面に下るルート、右に曲がる道が大笠山山頂方面であった。

桂湖方面分岐より大笠山に向かう 大笠山山頂
笈ヶ岳方向。僅かながら踏跡ありだがこの状況 桂湖方面に下る尾根

 平坦で広くなだらかな尾根を進むと広場が登場、そこが大笠山だった。残念ながらガスっていてほとんど展望はなかった。まあ、ここまで登れただけでもよしとするか。登山道はここでプッツリと終わり、この先の笈ヶ岳方面には笹に埋もれた薄い踏跡があるだけであった。でもこの踏跡も少し入れば完全に笹の海に飲み込まれてしまうだろう。やっぱりこの先に進むには残雪期しかないだろう。でも残雪期にここまで入るのが大変であり、笈ヶ岳に登るにはジライ谷経由が一番楽そうだ。

 少しずつ雨が強くなり、傘を差しながら休憩。これは帰りは雨具が必要そうだ。幸い、風は無いので傘が使えるが、道幅が狭く両側から木の葉がせり出した場所では傘は使えないだろうな。ゴアを着ると自分の発汗で蒸れて濡れるから、できるだけ着ずに済むならその方がいい。ポツポツ雨が降る中、無人の山頂を後にした。今日の天気ではここまで登ってくる人はいないだろうな。

ガスの中を雪田を下る さすがにこれはゴアが欲しくなる状況
雨の中、奈良岳到着 見越山南峰では雨が止んだ

 大笠山山頂付近は開けて頭上に木の葉が無いので雨を避けられなかったが、下りにかかると低い樹林の中に入って雨を避けられるようになり、傘をしまって麦藁帽子で簡易雨避けだ。しばらくはこれで良かったのだが、周囲の枝葉に付いた水滴が問題になるようになった。奈良岳までの登山道は体に触れる枝葉はほぼ無かったが大笠山〜奈良岳間はそうとはいかず、登山道が尾根東側直下を通るときなどは西側から木の枝が張り出して腕や肩を濡らした。奈良岳に到着するとやっぱり無人。私が大笠山往復中に奈良岳往復をした人がいたかもしれないが。奈良岳から下り始めてすぐに本日初のお客と遭遇、あちらはゴアを着ていたがこちらは傘。でもちょっとずつ雨は弱まってきたような。見越山南峰に到着する頃には雨が上がり、見越山南峰でいったん休憩する。ここでは男性2名が休憩中だった。

赤摩古木山 帰りの大門山分岐は本降りの雨

 見越山から赤摩古木山へはアップダウンがいくつかあり、大笠山往復後ではさすがに疲れる。それでも奈良岳往復組を追い越して一足先に赤摩古木山へ到着し、またもや休憩。2人の先客が休憩中で、本日は赤摩古木山までとのことだった。まあ、この天気じゃねぇ。赤摩古木山を出発してまもなく、再び雨が降り始め、今度は急激に強くなってゴアなしでは濡れるほどであったため木の下でゴアの上だけ着た。足元はスパッツで固めてあるのでまあOK、半ズボンは多少濡れても替えがあるのでいいだろう。下りではゴアのズボンを履いたら下半身が汗まみれになってしまう。今日は雨のせいで気温は低めで、ゴアを着ないで歩く分には暑さを感じることがなく、その点だけは快適だった。おまけに雨が降ると虫は雨宿りするようで虫がまとわり付くこともなかった。

ブナオ峠到着 国道156号線からブナオ峠への県道入口

 大門山分岐を通過してなだらかな尾根を下りブナオ峠到着。車は5,6台に増殖しており、天気がいい日ならもっと増えていただろう。今日はガスって展望は楽しめなかったが充実した山であった。

 

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